· 

2022年ありがとうございました。後半編


 せともの祭の余韻に浸る間もなく、翌々日の9月13日(火)に小倉(福岡県北九州市)へ出発しました。途中の休憩時間を含めて、藤山からの所要時間はおよそ10時間です。

 途中の宮島SA(広島県)にて。瀬戸内海はいつも穏やかです。有料の双眼鏡で覗けば、厳島神社を見ることができるようです。



 本州最西端の街、山口県下関市まで来ました。今回初めて壇ノ浦PAに寄ったのですが、関門大橋のたもとにあったのですね。いやぁ、すごい景色です。


 この橋を渡ればいよいよ九州に上陸です。毎年のように興奮してしまいますが、はやる気持ちを抑え、まずは昼食をとることにしました。下関といえばふぐ(福)です。関門の絶景を眺めながら、ふぐのぶっかけ丼を頂きました。いやぁ、ぜいたくな時間でした。食事中、当主がボソッと「潮の流れが速い。この潮流が源氏に味方した。」と言います。ここは源平合戦最終の地、壇ノ浦です。1185年に義経が平家を討ちました。


 さすがは本場のふぐでした。到着前にこんな豪華な食事をして、稼がないことには帰れなくなりました。対岸に見える街が門司区ですので、あの山の向こう辺りが小倉北区です。さあ出発です。


 西日本陶磁器フェスタ(9月15日~17日)にお越し頂きました皆様、今年も誠に有難うございました。台風が北上して来たため、2日早い閉幕となってしまいました。ご来場を楽しみにして頂いたお客様には申し訳ございませんでした。我々も不完全燃焼でしたので、気を取り直して今年も小倉へ行きたいと思っております。何卒よろしくお願い致します。

 色々な事件が起こる小倉への出展。9月という季節柄、たびたび台風の影響を受けます。イベントの中日に台風が直撃して休館となり、チャチャタウンで映画を見て1日過ごしたことがありました。出発の前日、岐阜の実家の屋根を補強した際、強風に煽られてはしごから転落したこともありました。「あぁ・・これは無理だな・・」と思いましたが、運良く骨折もなかったために小倉へ向かいました。帰りの門司港で、トラックに積んだ荷物が強風による潮水を大量に浴びたため、持ち帰った茶碗を藤山総出で水洗いをしたこともありました。

 

 出展が決まった頃は、当主と歳が近い不動窯さんの社長と運転を交代しながら1台の車で行っておりました。70歳に近い2人が九州まで茶碗を売りに行く後姿を見て、「・・・・これは命がけの仕事だな。」と私は思っておりました。当初は大阪の南港から、フェリーで門司港まで行っておりました。「エンジンがうるさくて眠れんかった。」と言っておりました。ある年から不動窯さんとは別に行くことになり、当主が1人で行って来たのですが、長距離移動のストレスから帰宅後にある病気を発症しました。これがきっかけとなり、全国の出展には私が運転を手伝うことになりました。

 

 一昨年の帰路でのことでした。兵庫県を走行中にタイヤがパンクしてしまい、7時間ほど立ち往生しました。しかし、不幸中の幸いで、車も荷物も身体もすべて無事で、また他人を巻き込むような事故をすることもなく済みました。ヘルプに来て下さったレスキューの方と車屋さんが、本当に頼りになりました。高速道路での事故や故障車をしばしば見かけますが、「明日は我が身」ということを身をもって経験しました。皆さんも、おでかけ前の車のメンテナンスはしっかりとしましょうね。




 私が初めて小倉の街で晩御飯を食べた時のことでした。不動窯さんの社長が「最後くらい焼き肉食べたいな。」と仰ったので、ホテルの裏にあるお店に入ってコース料理を頼みました。お通しのハム料理が運ばれて来た時でした。「これってうちのお皿じゃない?」と、まさかまさかの藤山で製作された器に盛られて出てきました。もちろん、お店の方は藤山の器だなんてことを知らずに使っておられましたが。

 その後に、白菜と豚肉のミルフィーユ鍋のような珍しい料理を食べました。「なかなか焼き肉が出て来ないな・・」、「おい、メニューをよく見ると、“焼き肉”ではなく“炊き肉”と書いてあるぞ。もしかして今のがそれだったのか・・」。女性店主に聞くと、炊き肉は鹿児島県でよく食べられている料理とのことでした。

 このような意外な場所での藤山の器との出会いと、焼き肉と炊き肉を間違えて入店したという笑える出来事がありました。しかし、店主は我々が岐阜から来た旅人であることを知ると、高級なお酒で精一杯のおもてなしをして下さいました。九州の温かい人情に触れることができ、一生の思い出となりました。

牛ちゃん小倉店で使われていた藤山のお皿です。


 昨年の7月、九州出身のご夫婦が藤山を訪ねて下さった時のことでした。「九州は小倉や博多までは売りに行くのですがね。」、「私小倉出身ですよ。」と奥さん。つくづく小倉とは縁があるなあと思いました。

 

 土岐美濃焼工芸会として、土岐市の8窯の出展が決まった時のことです。主催者の方がはるばると岐阜まで、「お世話になりますが、よろしくお願いします。」と挨拶に来られたそうです。一昨年の記事にも書きましたが、小倉の主催者は大変出展者想いです。このことが「小倉へ行きたい。」と、当主を駆り立てているのでしょう。もちろん、毎年のように藤山のブースに来て下さる小倉のお客さんがあってこその出展になります。

 今年は昨年の2日早い閉幕の埋め合わせのため、1日長い開催期間を予定して下さっているようです。この辺りの気遣いは、さすが小倉の主催者さんです。


 左は小倉駅で食べた豚骨ラーメン(Shin Shin)です。右は一昨年、緊急事態宣言の発令により外食ができず、ホテルで食べた思い出のカップラーメンです。岐阜には売っていないのですよ。

 気がかりでした北九州市の台所、旦過市場に寄りました。市場の皆さん、頑張って下さい。「揚げたてをあげるね。」と熱々の「カナッペ」をくれたお父さん、有難うございました。小倉の大変美味しい名物に出会うことができました。今年も買いに行きます。



 駄知どんぶりまつり(10月1日、2日)にお越し下さいました皆様、誠にありがとうございました。本当にいつもありがとうございます。例年通りの10月第一土日の開催となりましたが、やはり寒くもなく過ごしやすい時期ですね。おかげでテントで寛いで下さるお客様もたくさんいらっしゃいました。少しずつ平常を取り戻しつつあるなあと思って見ておりました。


 GWもそうですが、本当にゆったりとしたお祭りです。全国の皆様、どうぞお気軽にいらしてください。今年もよろしくお願い致します。




「見やぁーへんか」は、「見ませんか?」という方言です。


 11月5日(土)、6日(日)、TOKI MINOYAKIチャレンジフェスティバル(イオンモール土岐)にお越し下さいました皆様、器をお買い上げ下さいましたお客様、誠にありがとうございました。

 

 昨年の10月、国道19号線沿いにイオンモール土岐がグランドオープンしました。近くには土岐プレミアムアウトレットもあり、土岐南多治見IC付近は一躍ホットスポットになりました。イオンを起爆剤に地域経済の活性化、ひいては美濃焼の販売促進につなげようと、商工会議所や地元の企業も張り切っておりました。藤山も例外でなく、期待を寄せての出店でした。


 午後7時閉店でしたが、夕焼けが大変美しかったです。

 出店して色々と勉強になりました。他の出店者を見て、土岐市内には私の知らない素晴らしい焼き物がまだまだ沢山あるんだなあと思いました。そしてイオンさんの力をお借りしたとしても、やはり地元で焼き物を販売することは難しいということも再確認いたしました。


 全国の皆さん、もうコメダ珈琲店はご存知ですよね?名古屋市に本社を置き、全国展開する喫茶店です。何年か前に、店舗のない県はないとニュースで聞きましたが。イオンモール土岐にもあります。

 写真右は、コメダさんのモーニングサービスです。喫茶店でコーヒーを注文すると、朝の時間帯だけトースト、ゆで卵やサラダなどが無料でついてくるという名古屋発祥の文化であり、通称は「モーニング」です。一宮市が発祥と言う説もあります。秘密のケンミンショーなどで何度も取り上げられ、知らない方は少ないでしょう。

 名古屋名物に、小倉トーストというのがあります。食パンに小倉餡をのせて食べます。藤山の当主も私も大好物です。コメダさんのモーニングは、トーストの他は、ゆで卵かタマゴサラダか小倉餡から選べるというシステムであり、私は小倉餡をオーダーしました。


 店内の壁面には、目を見張るようなお皿が飾られております。何と言ってもここは美濃焼の産地、土岐市のコメダ珈琲店ですからね!藤山の製品も何枚か飾って頂いておりますので、どうか見つけてあげて下さい。


  8月11日(金)、12日(土)、13日(日)の3日間、コメダさんの横のスペースをお借りして、藤山窯が再びイオンに出店することが決まりました。夏休み、お盆期間ですね。イオンにお越しの際はぜひお寄り下さいませ。


 やきものワールド(愛知ドルフィンズアリーナ)にお越し下さいましたお客様、誠に有難うございました。

 いつかは・・と思っておりましたが、このタイミングでコロナに罹ってしまいました。3日遅れの出展になってしまい、数名のお客様や主催者さんにご迷惑をおかけしてしまいました。特に、この名古屋に持って行きますと湯呑の注文を頂いておりました京都のお客様、お渡しすることができずに大変申し訳ございませんでした。またいつか機会がありましたら、どうぞご用命下さいませ。


 名古屋は2年振りでした。出展のキャンセルはできないので、少しでも出展料が出ればくらいに思っておりましたが、終わってみれば思いのほか成績は良かったです。名古屋は美濃と近距離ですし、愛知県には瀬戸焼や常滑焼もあって焼き物が身近な環境にあります。名古屋の催事で好成績をおさめるは難しいという話はしばしば聞きますが、来年への期待も膨らみました。さすがは名古屋。藤山窯からは通える距離なので、ホテル経費がかからなくて良いのです。

 名古屋の皆さん、今年も遊びに来てちょーだゃあね!


 名古屋のローカルタレントであり、書家の矢野きよ実さんです。毎年、このやきものワールドを盛り上げて頂いております。土岐市内にある道の駅・どんぶり会館さんの前に、氏が字を書き入れた風呂桶が展示されております。


 暮らしを彩る器フェア in コンベックス岡山(12月8日~12日)にお越し下さいましたお客様、誠に有難うございました。

 ここ数年で岡山が年内最後の催事に定着し、多くの出展者が1年の締め括りにと期待を込めて臨んでおります。近年は主催者さんの尽力で岡山の皆様に周知され、有難いことにたくさんのお客様にご来場頂ける人気の催事になりました。大変活気があります。

 晩秋のもの悲しさが漂う季節ですが、岡山のお客様がそんな気持ちを吹き飛ばして下さいます。「岡山はよく売れる。」といううわさが広まり、出展を熱望する窯元が全国に多くいるそうです。現在は出たくても出られない順番待ちの状態であると聞いておりますよ。岡山、すごいです。

 「岡山は毎年天気に恵まれて嬉しいよね!」搬入の時、出展者の間でこんな会話も聞こえて来ました。


 アイビースクエア(倉敷市)に飾られるクリスマスのディスプレイが、私を幸せな気分にさせてくれます。


 「人生で一度くらいは。」と、初めて後楽園に入場してみました。紅葉の見ごろは過ぎておりましたが美しい庭園でした。


 岡山には本当に美味しいものがいっぱいで、お土産を買うのが楽しみの一つです。いつの間にか、このラーメンを食べるのが私の習慣になりました。平日の11時でしたが、40分ほど並びました。




 土岐市駄知町出身の俳優であり、土岐市の観光大使も務めておられる、酒井敏也(さかいとしや)さんをご存知ですか?

 

 

(道の駅・どんぶり会館さんのポスターより)

 そういえば、こんなことがありました。5年ほど前、岡山のお客様がはるばると藤山を訪ねて下さった日のことでした。

「今日午後4時から、土岐市の“窯やめぐり”の撮影で酒井さんがいらっしゃるのですよ。」

(お客様)「そうですか!でも、次の窯を訪ねる予定がありますので・・」

「もう少しロケが早かったら会えたのにね。」

 

 しかしお客様を送迎しようと外へ出ると、ガヤガヤと人の声が近づいて来ます。時間は14時前でした。

 「え!?まさか・・」そうなんです。4時と14時を聞き間違えていたのです。ほどなくして酒井さんがいらっしゃいました。岡山のお客様、酒井敏也さんにお会いできたのです。

 その時に酒井さんが驚きながら話された言葉が、今でも強く印象に残っております。

 

「岡山から!?窯やめぐりのために??」



 岡山駅は山陽本線の他、北は山陰、南は四国へと路線が続く交通の要衝です。プラットホームで電車を待っていると、小柳ルミ子さんの「瀬戸の花嫁」のBGMが流れてきます。

 12月という時節柄なのか、今年も1年何とか終わりそうだとの安堵感からか、毎年のようにうるっと来てしまいます。

 

 さて大変遅くなってしまいました。今年も泣きながら笑いながら、そして良い器を作りながら、全国の皆さんに会いに行きたいと思っております。

 本年もどうぞよろしくお願い致します。


瀬戸は夕焼け 明日も晴れる 二人の門出 祝っているわ♪